目的と読者
本ガイドは、日本語で学術的または実務的なエッセイを作成する学生、教員、実務家を対象に、論旨の明確化、形式的な引用、検証可能なデータを重視した執筆ワークフローを提示する。
目標は単純。読解と検証に耐えるテキストを、Google Docs と Overleaf の双方で安定して扱える形で仕上げる。
短い逸話。初期段階で3案のアウトラインを比較したところ、弱い主張が先に可視化され、以後の修正コストが下がった。
評価基準
- 論証と構成。守れるテーゼ、役割が明確な節、エビデンスとテーゼの往復。
- スタイル統制。APA MLA あるいは Chicago を文中から図表まで一貫適用。
- 参照の正確性。DOI を優先し、著者 年 タイトル 媒体 ページ 識別子を保存。
- 編集品質。冗長削減、用語安定、可読性の平準化、意味は変えない。
- 完全性。オリジナリティの検査と必要に応じたAI検出の記録。
- 連携。Docs と Overleaf の間で崩れないコピーとエクスポート。
主張の根拠を固めてから文体を磨く。順番が効率を左右する。
トップ10ツール
日本語に強いローカルLLMで下書きと用語を安定化し、国際的な編集 検査系で仕上げる方針が効率的。
- rinna 系日本語LLM。日本語でのアウトライン設計、段落生成、用語統一に有用。
- GPT ファミリ。構成調整、反証の組み込み、パラグラフの明確化に適する。
- Claude ファミリ。長文脈の一貫性評価と節間の論理整合チェックに強い。
- Mistral クラス。簡潔な表現と遷移の整えに向く第2意見。
- Gemini 上位。要約、補助的検索、マルチモーダル補助。
- LanguageTool。文法とスタイルの一貫化、チーム規則の適用。
- DeepL Write。自然なリライトとレジスタの平準化。
- Grammarly。包括的修正とオリジナリティ検査の併用。
- Turnitin あるいは Copyleaks。学術標準のオリジナリティ報告。
- Zotero あるいは Paperpile。DOI 管理と APA MLA Chicago 出力。
主力の起草モデル、1つのエディタ、1つのオリジナリティ検査で十分なことが多い。
端から端までの流れ
- ブリーフ。目的、読者、テーゼ仮説、制約、納品形式を8行に収める。
- 3案のプラン。古典的三部構成、問題解決、比較評価で論理を変える。
- 出典収集。日英の一次研究と質の高い総説を8から20本、DOI 優先で記録。
- 段落ドラフト。各パラグラフの役目を明示し、証拠 分析 テーゼへの回帰を徹底。
- 即時引用。外部事実に依存したらその場で参照を挿入する。
- 編集。冗長の除去、主題文の強化、節の遷移を滑らかに。
- ファクトチェック。日時、数値、固有名、用語の再確認、曖昧さは具体値へ。
- オリジナリティとAI検出。要件に従って実行しレポート保管。
- 最終校閲。見出し階層、表図のラベル、相互参照、組版の確認。
編集で新たな主張が生まれたら、検証に戻ってソースと整合を取り直す。
テンプレート
- 分析型。序論 テーゼ、分析3節、反論、含意を示す結語。
- 比較対照。基準を先に置き、並列比較、統合、推奨。
- 問題解決。問題 定義と証拠、選択肢の評価、限界付き提言。
- 立場表明。背景、テーゼ、証拠付き主張、異論への応答、次の一手。
枠組みに内容を合わせるのではなく、問いに合う枠を選び調整する。
引用と参照
1つのスタイルを徹底し、脚注 図表 付録まで統一する。
- 学術論文では DOI を優先。
- 著者 年 タイトル 媒体 ページ 識別子を保存。
- Zotero や Paperpile で書誌出力し手作業ミスを減らす。
中核ソースは直接引用とパラフレーズを併用し、理解と独自性を両立。
Docs と Overleaf
Docs の先頭にチェックリスト、未確定主張はコメントで可視化し、検証前に解決する。
Overleaf は前文でスタイルを固定し .bib を清潔に、頻繁にコンパイルして警告を早期発見。
短い図表ラベルは相互参照の負荷を下げる。実務上かなり効く。
倫理とコンプライアンス
AI の使用箇所を明記する。計画、言語編集、参照整形など、開示しやすいログを残す。
学術的誠実さに従い、要求があればオリジナリティ報告を添付する。
判断が難しい時は担当者に受容範囲を確認する。規程は更新される。
品質チェックリスト
- テーゼが明確で防御可能。
- 各節が証拠でテーゼを前進させる。
- 依拠する外部事実の直後に引用がある。
- 参照スタイルが例外無く適用されている。
- ファクトチェックの修正が記録されている。
- オリジナリティ検査が許容域にある。
- Docs または Overleaf での最終校了が完了。
明快な流れは不確実性を減らし、品質を再現可能にする。
結論
ローカル日本語LLMで骨格を固め、国際的編集 検査で仕上げる。工程を可視化すれば、問いに強い文章になる。